キャンプ　と　ブルーグラス

山行２日目。

目覚めたのは早朝３時過ぎ。
ご来光を北岳山頂で迎えようとするハイカーたちの撤収作業する音が目覚まし時計でした。

「熱心だなぁ。」・・・

山行初日、途中から思いっきり雨に降られ、眺望ゼロだったこともあり、
今回の山行で眺望を期待するのは止めようと、やや卑屈になっていたのかもしれません。

さらに、シュラフにもぐり込み、うとうと惰眠を貪ること小１時間。



シェルター越しに、東の空が明るくなっていくのが分かり、入り口のジッパーを開ける。
入り口からシュラフをまとったまま顔だけ出し、左側に顔を向け、東の空を眺める。



おおお、、、、晴れ上がった空！眼下に鳳凰三山！その向こうに広がる雲海！

・・・・そして、雲海からご来光が現われ、２日目がスタートしました。

「ボクは持ってますね。」と、思わずつぶやきたくなりました。（笑）

ご来光を受けたテン場が暁色に染まっていきます。

南東の雲海上には、富士山。


北岳肩ノ小屋の東斜面のテン場。北岳の脇に見える富士山。


北側を見ると、八ヶ岳が雲海から頭をのぞかせていました。


いっぽう、西斜面のテン場は、夜明けごろガスがかかっていました。
そのガスの影響で面白いものが見れました！

・・・・・ブロッケン現象です。

私の足が長く伸びた影の先に、私の上半身がガスに写っています。


やがてガスが晴れ、北西に仙丈ヶ岳が目前に見えました。

優雅で大きいカール（氷河跡の扇状地）を持ち、南アルプスの女王と呼ばれています。

同時に、その右手、北側に甲斐駒ヶ岳。山頂付近が美しいピラミダルの峰。

その向こうの雲海にぽっかり浮かんでいるのが八ヶ岳。

写真では分からないと思いますが、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳の後ろには、
中央アルプス、北アルプスも遠く雲海に浮かんでいました。

そして、南アルプスの盟主と呼ばれる北岳。

初日悪天候のため見られなかった山頂付近の全容がやっと拝めました。

アルペンムードたっぷりの風格ある山です。


かつてない最高のロケーションで食べた朝飯！
前日汲んだ大樺沢の清流で淹れたドリップコーヒー！

一生忘れることはないでしょう。



そしてこの景色の中で朝食を食べながら、思ったこと。
・・・・・いつか、この雲海の上に見える山、全部登ってみたい！



さて、２日目の山行です。

当初予定では、肩ノ小屋から北岳を登り返し、そこから南アルプスの主稜線を縦走して、間ノ岳、農鳥岳を登り、大門沢小屋のテン場へたどり着くという、９～１０時間くらいの行程を考えていましたが・・・

山小屋で聞いた情報では、台風が進路を日本寄りに変えて来ているとのこと。
それにより前線が不安定になっていて、昨日の大雨もその影響とか。

一方、今朝の思わぬ絶景の出現でテンションが上がり、カメラで風景激写三昧していたせいで、朝食を食べ終わったころには、もう７時過ぎ。これから撤収すると出発は８時ごろ。



う～む、、、、出発時間が遅くなってしまった・・・・
天候が悪化した場合、暗くなる前にたどり着けなくなる可能性もある。

仮に悪天候で足が遅くなった場合、大門沢小屋のひとつ前の農鳥小屋に泊まる手段もあるが、ゴールの奈良田は、帰りのバスの本数が少なく、最終便の時間も早いので、それだと３日目が非常に厳しい。



う～む、、、、と考えた末、肩ノ小屋のテン場に連泊し、水と行動食とデジイチだけ持って、肩ノ小屋と間ノ岳間をピストン縦走することにしました。

普通に歩けば７時間くらいの行程ですが、荷物が軽い分、天候悪化の際でも、即行引き返せるかなと。最悪の場合、肩ノ小屋と間ノ岳の間に、北岳山荘もあるからと。



まぁ、そんなふうに自分の出発が遅くなったことをやや悪天候の可能性のせいにして、
間ノ岳に向かった感のある出発となりました。

北岳に登る途中で、肩ノ小屋方面を振り返った一枚。

小太郎尾根の稜線と甲斐駒ケ岳の山容に萌える。（笑）

北岳山頂手前で、北岳山頂（左）から間ノ岳（右）とその主稜線を捉えた一枚。

ガスでシースルー状態の稜線。・・・・萌える。（笑）

山頂に近づくにつれ、ますますガスが濃くなっていく。

途中までくっきり見えていた仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳が、ガスに埋没し始める。

それにより、北岳山頂で、なんとこの日２度目のブロッケン現象。


北岳山頂で、ガスの切れ間から一瞬だけ顔をのぞかせた間ノ岳と主稜線。

今回の山行は、この稜線歩きが最大の楽しみだったのですが、
結局南アルプス主稜線の全容が拝めたのは、これが最後になりました。

北岳山頂を降るころ、更にガスはひどくなり、、、


池山吊尾根との分岐点あたりでは、視界50mくらいに。


北岳山荘です。南アルプス最大の山荘。


眺望が回復しないのが残念・・・・。
でも、この日も可憐な高山植物の花がいたるところに咲いています。
　
　
北岳山荘へ向かうトラバース道も、花が色濃く咲いていました。

肩ノ小屋の周りとは、咲いていた花の種類が異なります。
高度や、山の斜面の日当たり、地質etcの違いで、花の種類にバリエーションが多いのかな。

北岳山荘付近から間ノ岳の前衛、中白峰方面を望む。

前衛って言ってますが、標高は3053m。立派な標高です。

時折、ガスの晴れ間に、稜線が姿を現しますが、全容は見せてくれません。

全容が見えなくても、スケールが大きくて立派な稜線です。

・・・・でも思わず想像してしまう。
遥か遠くまで連なるこの主稜線が眺められたら、どんなに爽快な気分だろう。

主稜線のチラ見せ続きに、稜線フェチの私は、じらされもだえ続けました。（笑）


中白峰を過ぎ、いくつかの小さいピークを越えたりトラバースしながら、
いよいよ間ノ岳に迫ります。


相変わらず山頂はガスの中ですが、、、


稜線の西側斜面に現れた深く大きいカールに、間ノ岳山頂が近いことを感じます。


山頂直下のハイマツ林で、ライチョウと出会いました。


ガスの切れ間にノゾク山頂間近の稜線も美しい。

もし晴れだったら、、、もし見通せたら、、、、チラ見えにじらされ続けます。（笑）

雪渓が現れ、ついに頂上のシルエットを捉えました。


間ノ岳登頂完了…！
　
　
間ノ岳。標高3189m。日本第4位の標高を誇り、百名山に数えられる。



ピストン縦走の戻りも、相変わらずのガス模様。

終始、チラ見え稜線に萌え、悶えまくりの山行となりました。

結果的に、北岳の山頂に３回も立ちました。（笑）


晴天のもと、遥か遠くへ伸びる南アルプス主稜線を眺めながら、一日中歩き通す！
いつか、これやってみたいです。



北岳付近で、遠くに雷鳴が聞こえたので、急いで肩ノ小屋へ向かいましたが、
途中でまた、ドシャ降りの大雨とカミナリをくらってしまいました。

ただいまです。

濡れた服を脱ぎ、水を絞り、ポールに干し、乾いた衣類に着替えてビールを飲みながら、雨をやり過ごします。


・・・・・いつの間にか眠りに落ちてましたが、ハイカーたちの歓声にふと目が覚めました。



虹です。眼前の鳳凰三山のたもとから、虹がかかっていました。


17mmの広角レンズでも全容が捉えきれない大きな虹。


そして、また広がる雲海と南アルプスの峰々。


今朝私が思ったように、「いつか、この雲海の上に見える山、全部登ってみたい！」って思ったハイカーの方々、いっぱいいたでしょうね。

雲海の上のテン場直下のお花畑や、、、


眼前の雲海をまとった鳳凰三山を飽きることなく眺めているうちに宵は更け、、、


雲海の下には、甲府の夜景がうっすら透けて見えました。

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続くかな。。。